バブル崩壊の中経済学を学んでいて、分析だけをして新たな提案をする学問ではない気がしてあまり勉強できなかった。経営学のほうが、よさそうに思っていた。
卒業後、経済学が、経済学というより心理学や統計学の範囲に広がり、効果を図る部分は経済学のイメージだが、もっと実用的に近くしかも、エビデンスを重視したサイエンスに近いものになってきており、うらやましく感じていた。
さて、この本では、様々なエビデンスベースの論文から教育の費用対効果的な面からのアプローチを行っている。
例えば、著者は大学の准教授だが試験前には、学生の親族が亡くなる率が中間試験だと10倍、期末だと19倍、成績が芳しくない学生だと50倍になるという。
教育の収益率、勉強した方が生涯賃金が高いというのは多くの研究で示されている。しかし、人間は今の利益を先の利益より割り引いてしまう。
ほめ育ては意味がない。能力をほめるのはやる気を蝕む。テレビゲームをやめさせても勉強時間は増えない。勉強しなさいというのは無駄、逆効果にもなる。勉強を見ている、時間を決めて守らせることまでやると効果がある。
学力が高いクラスにいると成績は上がる。優秀な子がいても、もともと優秀な子しか影響を受けない。もともと学力が低い子はマイナスの影響を受ける研究もある。
問題児がいるとマイナスの効果がある。
習熟度別のクラスになっており、習熟度に応じた指導を教師ができるなら、すべての学力層で学力が上がる効果がある。特に学力が低い子には効果が大きい。ただし、学齢が低いと格差が広がる研究もある。
反社会的な行動は友人の影響を受けやすい。積極的な引っ越しが望ましい。
幼児教育が一番効果的である。
勉強ができるのではなく、成績が良いことが大事。ようは、非認知能力=自己管理ができてやる気があって、まじめでコミュニケーション能力が高いことが大切。幼児教育による学力差は効果は最終的になくなるが、先に挙げた非認知能力の差はなくならない。
少人数教育は35人40人では効果がほぼない。20人以下だと効果があるが、費用対効果は悪い。
中3時点の学力の原因は35%が遺伝。34パーセントが家庭環境。30パーセントがその他。学力テストの結果は家庭資源の差だけに近い。テスト結果の公表は何でも先生のせいにしてしまう可能性がある。保護率就学援助率等も併せて公開すべき。
週休2日制で学力の差が開いた。子ども手当は学力には効果なし。少人数学級は貧困世帯の子供には効果が大きい。
教育の量より質。教師の程度の格差が激しい。下位を平均に置き換えるだけで違う。教員免許の有無はあまり関係ない。
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